Tama Cinema Forum News

Tama Cinema Forum News vol.1 2002 april
 
1『神の子たち』特別上映会
1-1 作品紹介
『神の子たち』とは?
フィリピンにゴミ捨て場を舞台とし、極めて困難な生活環境で生活する3家族を軸に描いたドキュメンタリー映画。「貧困とは?」「家族とは?」「生と死」等の様々な問題と問いかけると共に、私達の生き方そのものを問い直す映画作品です。
 
神の子たちイラスト
 
1-2 推薦文 『神の子たち』を観て
●「構造的暴力」という言葉がある。貧困、飢餓、抑圧、差別等により人間の潜在的可能性を発揮できないこと。世界がその様なものに満ちていることに対し、自分は無知であり無能である。その事実を突きつけられたようで慄然とした。この映像の中で逞しく、精一杯生きようとしている人たちの姿が唯一の救いであり、また心の奥底に残る痼りでもある。(家)

●厳しい内容ですが、見たことを後悔しません。映画を見た後でも、私の生活は変わらないかもしれない。けれどもこの映画は私に、窓から外の世界を見ること、自分の周りの人々に関心を持つことの大切さを教えてくれた。エンディングに流れる加藤登紀子さんの歌も何かポジティブな気持ちにしてくれます。(清)

●ゴミの山…それは私たちが疎むモノでも、彼らには重要な生活の糧、生活の一部。あるのは必要最低限のモノと家族、そんな過酷な環境の中でもスクリーンに映る彼らはとても力強い。時に嘆き、沈み、そして笑う、とても素朴で人間らしいのです。残酷ささえ感じさせるほど淡々と進む映像の中の、彼らの眼差しや表情が鮮やかに印象に残ります。彼らの生きるチカラに魅せられてください。(曜)

●「知ること」とは、とても大切だと思うのです。現実を知らなければ何も変わらないし、変えようとも考えません。彼らの住む世界は確かに過酷ですが、悲惨だとは感じません。誇りをもって生きる彼らにも喜びと悲しみは同じように訪れ、それはよりいっそうのリアリティーを持って、わたしたちに訴えかけてきます。日々の生活に追われ、忘れがちになっている何かを思い起こさせてくれる、いま見なければならない映画であると思います。(岡)
 
2 交流会 Indies in TAMA
2-1 vol.15 「ドキュメンタリストDNA
    ~原一男と20代監督がファインダーの中に見た家族~」
昨年の第2回TAMA NEW WAVEに応募された作品の中から、静かに家族との関係を見つめ直し、観客や審査委員に強いインパクトを与えた『Home』『団地酒』を上映します。
そしてこれらの作品に影響を与えた原一男監督の作品も合わせて上映します。3人の監督によるトークも予定。どうぞ御期待ください!
 
2-2 上映情報
2002年5月19日(日)12:30開場
13:00ー14:05 『Home』(小林貴裕監督)
14:20ー15:10 『団地酒』(大野聡監督)
15:30ー17:10 『極私的エロス・恋歌1974』(原一男監督)
17:30ー18:20 トーク「フレームの中に捉える家族の風景」
       ゲスト:小林貴裕監督、大野聡監督/司会:原一男監督
*終了後にゲスト・観客・スタッフによる懇親会を実施。
入場料 1000円(当日のみ)
会場 ベルブホール(多摩市立永山公民館5階)
 
2-3 原 一男(はら かずお)監督について・・・
1945年生まれ、山口県出身。72年、障害者にカメラを向けたドキュメンタリー『さようならCP』で監督デビュー。私生活をスクリーンにさらけだし、個と自分の関係を問い詰めた『極私的エロス・恋歌1974』(74年)を撮る。その後、奥崎謙三を描いた『ゆきゆきて、神軍』(87年)、作家・井上光晴を描いた『全身小説家』(94年)は社会的な大きな話題を引き起こす。
 
2-4 『Home』
監督:小林貴裕 / 67分
第2回TAMA NEW WAVEビデオ部門グランプリ作品。また、世界学生映画祭大賞受賞。
監督は高校卒業後自主映画を撮っていたが、もう一度一から映画を勉強したいと、98年日本映画学校に入学。二年次においてドキュメンタリーを学ぶ。本作品は日本映画学校卒業制作作品できっかけは、どの家庭でもありそうな些細な出来事だった。ちょっとしたボタンの掛け違いが積み重なり、救いの無い家族となっていく。潔癖症の兄と、鬱病の母。ただ一人明るい華を添える祖母の癌。今は家を出た父。と、これらの現実はこれ以上ない説得力のある映像で語られている。特にラスト、兄がついに家を出る決心をするシーンは、映像に残っていない部分まで、見る者に想像させ、脳裏に焼き付けさせる迫力がある。

小林監督Q&A

Q1:生年月日、出身地
1976年4月生まれ、長野県出身。山また山みたいな所でして、非常に海に憧れを抱いていました。

Q2:家族構成
父母、兄、私の4人家族です。作品中の祖母は去年亡くなりました。

Q3:どのような少年時代を過ごしましたか
4つ年上の兄にいつも後ろからついていくような少年で、兄の友人と山や川で遊ぶ以外は、頭の中で空想ばかり思い浮かべるような少年でした。

Q4:一番影響を受けた作品
土本典昭監督の『原発切抜帖』(1982)。新聞の切抜き記事だけで映画が出来ていて新鮮な驚きを感じました。

Q5:家族のドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけ
4年以上田舎の家族とは距離を置いていました。でも作品の冒頭にもでてきますが、祖母のがんを知らせる電話でこのままではいけないと田舎に帰り、家族を撮り続けました。カメラがあったからこそ本音でぶつかり合い、あそこまで家族を動かしたのだと今は信じています。

Q6:次回作について
「自殺願望の強い少女」にカメラを向けています。テーマがテーマだけにカメラを廻すまでの関係作りに時間がかかるかと思っていましたが、意外にもすんなりカメラを廻させてくれています。

Q7:原一男監督の作品に関する印象
とにかく被写体に対してこれでもかこれでもかとカメラが肉薄する迫力と、ドキュメンタリーでのカメラと被写体との関係について多くの学ぶべきモノがあると思います
 
2-5 『団地酒』
監督:大野聡 / 48分
本作品は第2回TAMA NEW WAVEある視点部門 -虚実のはざまで-(ドキュメンタリー・セミドキュメンタリー部門)で上映された。山形国際ドキュメンタリー映画祭招待作品。監督はイメージフォーラム付属映像研究所本科24期。その卒業制作作品として本編を制作。
米が浮いたり沈んだり、生き物のような表情を見せる、どぶろくの映像が魅力的。市場経済至上主義で、人間の生産性のみが重視される現代社会で、どぶろくと絵画に真心を込めるお父さんの姿は異彩を放つ。今にも崩壊しそうな家族を描いているにも関わらず、温かい気持ちにさせられるのは、根底にある家族愛である。「創作するのは面白いんだよね」と語りながら、父子で飲むどぶろく。酸いも甘いもごちゃまぜの複雑な美味しさ

大野監督Q&A

Q1:生年月日、出身地
1977年6月生まれ、横浜市出身。作品に出てくるような団地が建ち並ぶ街で生まれ育ちました。

Q2:家族構成
両親と姉二人と自分。

Q3:どのような少年時代を過ごしましたか
どちらかといえば外で遊ぶタイプだったと思う。暗くなるまで野球をやっていた記憶がある。

Q4:一番影響を受けた作品
ヒッチコックの『裏窓』(1954)が一番好きな映画。団地に住んでいるので向かいの棟の生活を小学生の頃から覗いてしまう。窓の数だけ生活があると思う。

Q5:家族のドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけ
父親のどぶろく造りが面白くそれを撮影したのを機に家族のことを知りたくなった。あるいは家族のことを知りたいということが先にあって、父親のどぶろく造りの撮影はただの口実だったのかもしれない。

Q6:次回作について
記憶というのをテーマに、祖父が撮影した8?フィルムや収集したフィルムを用いて、作品を撮ろうと思っています。

Q7:原一男監督の作品に関する印象
『ゆきゆきて、神軍』を拝見しましたが、そう一言二言で語れる作品ではないと思うのでお答えできません。
 
3 平成13年度文化庁優秀映画賞受賞作品上映会
3-1 作品紹介
優秀映画大賞

『ハッシュ!』(監督:橋口亮輔 出演:田辺誠一、片岡礼子、高橋和也)
 直也は気ままなゲイライフを送りながらも充足感を得られない。勝裕はゲイである ことを隠し、気持ちを素直に出せない自分にうんざりしている。朝子は傷つくことを 怖れ、人生を諦めたような生活を送っていた。付き合い始めた直也と勝裕は平穏な時 を過ごすが、朝子との偶然の出会いから、その関係が揺らぎ始める。朝子は勝裕に、 「子どもが欲しい」とうち明ける。

『石を積む 石垣と日本人』(脚本・監督:田部純正)

優秀映画賞

『赤い橋の下のぬるい水』(監督:今村昌平 出演:役所広司、清水美砂)
 失業中の陽介は、赤い橋のたもとの家に住むサエコと出会う。彼女は体内に水がたまると悪いことがしたくなり、快感と共に水を放出するというのだ。それ以来、水がたまったと知らせが入ると、赤い橋の家に駆けつけるのだが……。

『GO』(監督;行定勲 出演:窪塚洋介、柴咲コウ、山崎努)
 日本の普通高校3年の杉原。将来の夢も進路も決まらず、元ボクサーの父に仕込まれたボクシングを武器に喧嘩漬け日々を送っていた。ある日杉原はヤクザの息子の同級生・加藤のバースディパーティで声をかけてきた少女、桜井と突然の恋に落ち今まで経験したことのない時間を共有する。だが、民族学校開校以来の親友、正一が駅で少年に刺される事件が起きた……。

『ターン』(監督:平山秀幸 出演:牧瀬里穂ほか)
 真希はある日、交通事故に遭遇するが次の瞬間、何故か自宅の居間に。手元には返したばかりの図鑑と投函したはずの葉書が。不思議に思いながらも図書館に向かおうと外に出るが車が一台も走っておらず、図書館にも誰ひとりとして人がいない。翌日、誰もいない世界で戸惑う中、午後2時15分になるとまた真希は自宅の居間にいた。返したはずの図鑑と投函したはずの葉書と共に……。

『日本の黒い夏―冤罪―』(監督:熊井啓 出演:中井貴一、細川直美)
 長野県松本市で何者かによって毒ガスがまかれ、多数の死傷者を出す大惨事が発生した。第一通報者で被害者でもある一市民が殺人容疑で家宅捜査をうけ、マスコミによって犯人に仕立て上げられてしまう…。地元の高校の放送部では事件の冤罪報道を検証するドキュメンタリー・ビデオを製作することになった。

『まぶだち』(監督:古厩智之 出演:沖津和、高橋涼輔)
 サダトモ、テツヤ、周二たちはスパルタな担任教師・小林から“クズ”呼ばわりされている中学生。ある日、駄菓子屋で万引きしたことがバレ、彼らの父親は学校に呼び出されてしまう。初めて父に殴られショックを受けたサダトモは反省文を書くが、その行動に感銘を受けた小林は彼らに文化祭での意見文発表会に出るよう命じたのだったが……。

『みすゞ』(監督:五十嵐匠 出演:田中美里ほか)
 大正の中頃、日本海の港町仙崎。少女金子テルは本屋の店番をしながら書物を読み耽る毎日を過ごす。やがて兄の結婚を機にテルは母のいる下関へと移る。そこで小さな店を任されたテルは、店番のかたわら書いた詩を、“みすゞ”というペンネームで雑誌に投稿する。

『EUREKA(ユリイカ)』(監督:青山真治 出演:役所広司、宮崎あおい)
バスジャックに遭遇し、生き残った運転手の沢井と直樹と梢の兄妹は心に深い傷を負ってしまう。2年後、消息を絶っていた沢井が町に戻ってきた。兄妹が学校にも行かず家に閉じこもっていることを知り、突然兄妹の家に行き、奇妙な共同生活を始める。

『ギフチョウと生きる郷 神奈川県藤野町篠原・牧場地区の記録』(制作者:矢島仁、能勢浩)

『日本の近代土木を築いたひとびと』(監督:田部純正)
 
3-2 プログラム
5/24
13:00-14:40『みすず』
15:30-17:29『日本の黒い夏 冤罪』
18:25-20:14『赤い橋の下のぬるい水』

5/25
10:00-11:25『日本の近代土木を築いたひとびと』
       『ギフチョウと生きる郷 神奈川県藤野町篠原・牧場地区の記録』
12:00-14:19『まぶだち』
15:00-18:37『EUREKAユリイカ』

5/26
11:00-11:35『石を積む 石垣と日本人』
12:30-14:21『ターン』
15:00-17:02『GO』
 
4 募集告知
4-1 支援会員募集のお知らせ
TAMA映画フォーラムでは活動資金の援助をして下さるメンバーとして「支援会員」を募集しています。今年もこの多摩の地域でたくさんのステキな映画を上映したり、憧れの俳優さんや映画監督をゲストとして招待するため、ぜひ支援会員としてご協力をお願い致します。なお、ご協力いただいた方には本誌やTAMA CINEMA FORUMホームページにてお名前をご紹介させていただきます。

支援会員申込み方法:郵便振替用紙に必要事項をご記入いただき、TAMA映画フォーラム実行委員会宛に送付願います。なお、支援金は一口千円とさせていただいております。
問い合わせ先:TAMA映画フォーラム実行委員会支援会員募集係
       担当 田中明子(TEL 042-337-6509)
          穂刈洋子(TEL 042-338-1277)
申し込み先:郵便振替番号00160-5-541123
      TAMA映画フォーラム実行委員会
 
4-2 第十二回映画祭TAMA CINEMA FORUMボランティアスタッフ募集中
第12回映画祭に向けて私たちTAMA映画フォーラム実行委員と一緒にボランティア・スタッフとして映画祭に関する諸作業のお手伝い等出来る方を大募集しています。

 ●主な作業:
 期間中の運営スタッフとして年3回行っているフリーマーケット活動映画祭に向けたPR諸作業
 ●申し込み方法:
 TAMA CINEMA FORUMのHPより登録を受付致します。ただ今ページを準備中で、5月上旬には出来上がる予定ですので、こまめにチェックしてみて下さい!(昨年ボランティア・スタッフ登録をして頂いた方も、再度登録をお願いします。)
 HPアドレス http://www.tamaeiga.org/
 
4-3 TANA NEW WAVE 来たれ!21世紀を切り開く映像作家!
TAMA CINEMA FORUMのコンペディション部門であるTAMA NEW WAVEは今年で第3回を迎えます。日本映画界に新風を送り込むような作品をプロ・アマ問わず募集しています。詳細は、今後の会報やTAMA CINEMA FORUMのホームページでお知らせしていきますので、ご注目ください。
 
5 編集後記
■もっともっとたくさんの人にTAMA CINEMA FORUMのことを知ってもらいたい!という思いからタイトル、内容を見直しての発行第一弾。いかがでしたでしょうか?これから映画情報や実行委員会の活動内容等、濃~い中身で発信していきたいと思います。ご意見・ご感想は movinon@tamaeiga.org まで!(裕)

■今回、こちらのTAMA映画フォーラムの会報を一新いたしました!!おめでとうゴザイマス。そして、ありがとうゴザイマス!!分からない事ばかりでしたが、何とか形になりましたね~。素晴らしいです(^_^_ ・・・でも最近、映画をちぃっとも観てないのです・・・。何がいけないんだろう?・・・では、これからも気合入れて発行していきますので、よろしくお願い致しますね。(福)

■TCFの会報が新装開店ということで、なんだかワクワクしますね。TCF自体の活動もこれから盛りだくさんなので、余さず伝えていきたいです。一番楽しんでいるのは自分たちでありたいと思うし、それが読んでくれている皆さんにも伝わるような会報になればいいなと思います。新しいメンバーも入ってくれたことだし、これからどんどんいい方向に変わっていくと良いなあ。(ルコ)

■生まれ変わったと思われる会報を今後ともよろしくお願いします、もっとどんどん変わってゆけばよいのにと思います。皆様おつかれさまでした。(浩)

■こんにちは。皆さんは最近映画を見ましたか?(もちろん映画館で。)私はかなり前になりますが、『千と千尋の神隠し』を見ました。内容はもちろんのこと、映画館でみたこともありマンガでこんなに感動したことはない、というぐらい感動しました。まだ見ていない人は是非見に行ってください・・・。(前)
 
発行:TAMA映画フォーラム実行委員会
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会報編集委員:望月裕香・真鍋薫子・野村浩利・福田舞・中田温朗・舟口聡・前川めぐみ・小川恵津子・澄川英子